株式投資をしていると、「この銘柄、最近よく動くなあ…」とか、「全然値動きがないな」と感じることはありませんか?実は、この「値動きの大きさ」を客観的に測る強力な指標があるんです。それが今回ご紹介する**ATR(Average True Range)**です!
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ATRは、相場のボラティリティ(変動性)を数値化することで、私たちの投資判断を大きくサポートしてくれます。今回は、ATRの基本的な概念から、具体的な活用法まで、分かりやすく解説していきます。
ATRって、そもそも何?
ATRは、日本語では「平均真の範囲」と訳されます。簡単に言うと、一定期間における株価の「値幅」を平均化したものです。
ここでポイントとなるのが「真の範囲(True Range)」という考え方です。単に高値と安値の差を見るだけでなく、前日の終値との比較も考慮に入れることで、より正確な値幅を捉えようとします。
【True Rangeの計算式】 以下の3つのうち、最も大きい値がTrue Rangeとなります。
- 当日の高値 – 当日の安値
- 当日の高値 – 前日の終値の絶対値
- 当日の安値 – 前日の終値の絶対値
このTrue Rangeを、通常は14日や20日などの期間で平均化したものがATRです。
なぜATRが重要なのか?
ATRがなぜ重要かというと、相場のボラティリティを把握することで、以下のようなメリットがあるからです。
- リスク管理の目安になる: ATRの値が大きいほど、その銘柄は値動きが激しく、リスクも高まる傾向にあります。逆に、ATRが小さい場合は値動きが穏やかで、リスクは低いと言えるでしょう。
- ストップロスの設定に役立つ: ATRは、ストップロス(損切り)を設定する際の目安としても非常に有効です。ATRの何倍かという形でストップロスを設定することで、相場のボラティリティに応じた合理的な損切りポイントを見つけることができます。
- エントリータイミングの判断材料に: ATRが上昇している時は、相場に勢いが出てきているサインかもしれません。逆に、ATRが低下している時は、相場がレンジ相場に移行している可能性を示唆します。
- 期待リターンの予測に: ATRから予想される値幅を考慮に入れることで、投資の期待リターンをより現実的に見積もることができます。
ATRの具体的な活用例
ATRは、単体で使うだけでなく、他のテクニカル指標と組み合わせることで、さらに強力なツールになります。
1. ストップロス設定の最適化
ATRを使ったストップロスの設定は、投資戦略において非常に重要です。例えば、「エントリー価格からATRの2倍下にストップロスを設定する」といったルールを決めることができます。これにより、相場の変動に合わせて柔軟な損切りが可能になります。
- 例: ATRが50円の銘柄で株価が1000円の場合、ストップロスは1000円 – (50円 × 2) = 900円といった形で設定できます。
2. トレイリングストップとの組み合わせ
利益を伸ばしながらリスクを管理する「トレイリングストップ」にもATRは活用できます。例えば、「高値からATRの3倍下がったら売却」といったルールを設定することで、相場の急変にも対応しつつ、ある程度の利益を確保することができます。
3. ボラティリティブレイクアウト戦略
ATRが低い状態が続いた後、急激にATRが上昇し始めた時、それは相場が大きく動き出す兆候かもしれません。このような「ボラティリティブレイクアウト」を捉えることで、大きな利益を狙う戦略もあります。
ATRを使う上での注意点
- 万能ではない: ATRはあくまでボラティリティを測る指標であり、未来の株価を正確に予測するものではありません。他のテクニカル指標やファンダメンタルズ分析と組み合わせて利用することが重要です。
- 期間設定に注意: ATRの計算期間(例: 14日、20日)によって値は変動します。ご自身のトレードスタイルや銘柄に合わせて最適な期間を見つけることが大切です。
- トレンドとの関係性: ATRはトレンドの方向性を示すものではありません。あくまで値動きの「大きさ」を測る指標であることを理解しておきましょう。
まとめ
ATRは、相場のボラティリティを客観的に把握するための非常に有効なツールです。この指標を理解し、適切に活用することで、リスク管理の精度を高め、より戦略的なトレードを行うことができるようになるでしょう。
ぜひ、ご自身のトレードにATRを取り入れて、株式投資の勝率アップを目指してみてください!
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